コラム

人情で生かされた私の半生【9】

〝年月は体を老いさせるが前向きに燃えて生きる情熱があれば心は老いない 最後の目を閉じるまで前向きに生きよう〟
古き良き貧しき時代の北国で、感謝の気持ちを胸に懸命に生きた半生を綴ります。
いつの時代も、人は人の温かさのおかげで生きられるのではないでしょうか。

第33章 生まれ持った好奇心の赴くまま……人の輪を広げる

 ある日、祥伝社の社長から「自分の歴史を書け」と言われ、一度は断ったけれど、お世話になっている方々を想い厚かましくも書き上げると、その本が後日、日本読書推進協議会の「成人になったらお勧めの本」に選定されたと、驚きの連絡を受けました。
 ある日、「中小企業家同友会のオホーツク支部が北見に誕生するよ、とても勉強になるからぜひ入会するように」と息子の友人から電話が入り、はじめのうちは息子と専務の2人で参加していましたが、なぜかそのうち行かなくなったので代わりに私が参加してみたところ、その日は、網走は東京農大の講師を招いての勉強会でした。とても興味を持った私は、農薬を一切使用せずに玉ねぎやじゃがいも栽培に精を出している女性などを誘って、その後も参加するようになりました。
 講師である北見工業大学の大野教授は、出欠を取るために必ず皆の名前を呼ぶのですが、3人ほど欠席したある時「その者たちを我が家に連れて来なさい。自然を大切にする農業がどんなに大事か教えるから」と私に言いました。 
 好奇心たくましい私は、欠席者以外にも声を掛け、8名ほどで先生のご自宅へ出掛けました。
 ご自宅の玄関には「夢想庵」と表札が掛けてありました。「どうぞ」という先生の声に皆は入って行きましたが、間違いなく大野先生の家なのかな……と思った私は、呆然と玄関に立っていました。和服に前掛け、たすき姿のその人は、いつもの大野先生とは全く違ったから。
「ミッちゃん、どうして入らないのよ」「だっていつもの大野先生と全然違うもの。家を間違ったのかと思ったの」と言って、皆で大笑い。
先生はたくさんのごちそうを自ら手作りして、待っていてくれたのです。それからは、月に1度は皆で集まって勉強会を開くようになりました。会の名は「夢想会」!
 車の免許を持たない大野先生は、いつも地下足袋に軍人さんのような脚絆(きゃはん)を巻いた格好で自転車に乗り、「自然を守るためには森や田畑を放っておいてはいけない」と、出身地の長野や東北の人たちに説いて回っていたと聞きました。
 そして、北海道津別町から依頼された大野先生は、農業に力を入れて、農産物を使った加工品を考え出して工場を造るなど、津別町の活気ある町づくりに貢献しました。
☆次号よりしばらく休載となります。

下斗米 ミチさん下斗米(しもとまい) ミチ
1923年9月24日 北朝鮮 新義州に生まれる。
1971年4月(株)福村書店 元・代表取締役。
北見市法人会理事、北見市法人会女性部顧問、北海道中小企業家同友会オホーツク支部相談役、北見市社会福祉協議会評議員、オホーツク地域自治研究所副理事長、ふるさと銀河線再生ネットワーク代表、オホーツク ローカル情報誌『HARU』編集長などを歴任した。
著書:北の町に本を届けつづけた女社長のふんばり人生『母さんの風呂敷包み』(扶桑社)

 

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