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健康長寿のカギは「フレイル」予防⑤

「フレイル」という言葉をご存じでしょうか?
体重が減ってきた、疲れて何もやる気が出ない、歩くのが遅くなった……などを感じたら、それはフレイルかもしれません。介護予防のために知っておきたいフレイルの話、第5回です。

「フレイル」は要介護状態になる前の虚弱

 健常なときから介護が必要となるまでの中間段階として、人によりその期間に長短の差はありますが、「フレイル」(虚弱)とよばれる状態があります。
 フレイルでは、加齢に伴って食欲が落ちるなどの理由から食べる量が減り、体重が減少し、低栄養を招きます。低栄養状態では疲れやすく、活動量が減り、動かないことで筋力が低下して、ますます身体機能が衰えていく……この一連の負の連鎖を「フレイル・サイクル」といいます。 自分がフレイルに陥っていないかを意識して、まずは食事や運動などの生活習慣を見直すことが、フレイル予防の第一歩です。

フレイルでは感染症にかかりやすい

これからの季節、特に気を付けたいのが「インフルエンザ」や「肺炎」などの感染症です。
フレイルでは免疫力が低下して、感染症にかかりやすくなるからです。
 人には、体外から侵入した細菌やウイルスなどの異物から体を守る「免疫システム」がそなわっています。免疫システムの主役は、血液を構成している細胞のひとつ「白血球」です。白血球は、その役割に応じて「リンパ球」「好中球」「単球」などに分類され、免疫システムが体内に異物を見つけ出すと、これらの細胞が連携して攻撃することで異物を排除します。
 免疫システムの働きは年齢が高くなるほど低下していきますが、特にフレイルではそれが顕著に起こります。
 ところで話は少しそれますが、年齢が上がるにつれてかかりやすくなる病気に「がん」があります。がん発生要因のひとつは、免疫システムの低下といわれています。ある研究では、特にBMI18.5未満の痩せた中高年男性でがんになりやすいことがわかっています。つまり、体重が減った低栄養状態であるフレイルでは、免疫システムの働きが低下し、がんも発生しやすくなっていると推測できます。

死因第3位の「肺炎」を予防するワクチン

 日本ではここ数年、肺炎が死因の第3位となっています。肺炎で亡くなる方の約90%が75歳以上で、さらに90歳以上になると肺炎は死因第2位に上がってきます。
 その多くは「誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)」(47頁『今月の知っておきたい用語』参照)が原因で、肺炎で亡くなる65歳以上の方のうち、96%が誤嚥性肺炎によるものというデータもあります。
 肺炎の原因菌は多数ありますが、「肺炎球菌」がトップで30%~60%といわれています。
 厚生労働省では、65歳以上の方に対して成人用「肺炎球菌ワクチン」の接種を推奨しています。年度により異なりますが、特定の年齢の対象者には公費助成が受けられる定期接種の制度を開始しています。
 肺炎球菌ワクチンが全ての肺炎を予防するわけではありませんが、それでも一定の予防効果があることは確かです。効果は5年間持続し、5年後に再接種ということになります。

重症化を防ぐ「インフルエンザ」ワクチン

「インフルエンザ」の予防接種も、肺炎で亡くなる人を大幅に減らすことに貢献しています。
 インフルエンザウイルスにはA型やB型などがあり、そのなかでもさらに複数の型に分かれています。ワクチンは、その年に流行しそうな型の組み合わせを予測して作られるため、ワクチン接種で必ずしもインフルエンザが防げるわけではありませんが、もし感染したとしても重症化を防ぐ効果があることがわかっています。
日本の研究では、65歳以上の健常な人の場合、約45%の発病を防ぎ、約80%の死亡を阻止する効果があったという報告があります。特に免疫力が低下している人では、感染すると重症化しやすいため、ワクチン接種は有効といえます。
 インフルエンザの流行は、1月上旬から3月上旬が中心で、ワクチン接種による効果が現れるまでには2週間ほどかかることから、毎年12月中旬までに接種することが望ましいとされています。
 インフルエンザや肺炎球菌の予防接種は、自分自身をインフルエンザや肺炎から守るだけではなく、家族や周囲の人への感染も防ぎます。
 これら2つの予防接種は、適切な時期に必ず受けるようにしたいものです。

 
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森惟明(もりこれあき) 高知大学 名誉教授

森惟明(もりこれあき)
高知大学 名誉教授

 

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