インタビュー

女優 渡辺えりさん

輝く人 インタビュー 11月号 Vol.74

「舞台は総合芸術、私のやりたいことすべてがそこにあります」
劇作家、演出家、女優、コメンテーターなどいくつもの顔を持つ渡辺えりさん。
常に頭をフル稼働させ、エンターテインメントの世界で活躍しています。溢れる「やりたいこと」がエネルギーの源になっているようです。個性的なキャスティングが光る舞台『三婆』について伺いました。

小学校5年生にして劇作家誕生の兆し?

覚えたての曲を家族の前で披露するお子さまだったとか?

 赤ん坊の頃から大人たちに囲まれて育ち、常に音楽が側にありました。2歳で『荒城の月』などをレコードで覚え、コタツを舞台にして、歌っていました。大人たちが喜び褒めてくれるのが嬉しくて……。小学校1・2年生の時は大人しくいじめられっ子だったんですが、学芸会だけは別。お芝居の最中はいじめっ子も、いじめないでしょ。そんな思いを詩にしたところ、市報に大きく紹介され、母が号泣して喜んでくれた姿を今でもよく覚えています。それから、初めて芝居の台本を書いたのが、小学校5年生の時。『光る黄金の入れ歯』というミステリー仕立ての作品で、とても評判が良かったんです。おばあさんの黄金の入れ歯が盗まれ、11人の孫たちが疑われるという物語。おばあさんは犯人探しのため、「この壺を触れば犯人がわかる」と告げ、入れ歯が隠されていた壺を孫一人ひとりに触らせるんです。実は壺には墨が塗られていて、犯人以外の手は墨だらけ。私はそのおばあさん役を演じたんですが、「先生が出ている、ずるい!」って言われて(笑)。私、太っていて体も大きかったし、子どもなのに芝居もうまかったから、その頃から母親役とか老け役が多かったんですよね。

小学校5年生にして劇作家、その想像力はどう培われたのでしょうか?

 父親が教員で、いつも童話などを読み聞かせてくれていました。毎日何かを読んでもらわないと眠れないような子どもでした。
私の楽しみは物語のその後を考えること。例えば『シンデレラ』なら、王子様と結婚=ハッピーエンドで終わるはずがないですよね。だってシンデレラと王子様とでは、住む世界が違い過ぎるし、意地悪なお姉さんたちを許したのかとか。『桃太郎』では、鬼退治の後あのお宝はどうなったのか?など妄想が広がるんです。一番辛かったのは『人魚姫』。最後に泡で消えてしまうでしょう?悲しくて悲しくて、その続きを考えることができなかったので、ラストシーンはクレヨンで塗りつぶしていました。

〝なりたいものリスト〟は常に満載全ての夢を叶えてくれたのは舞台

さらに好奇心はあらゆることに向いたようですね。

 絵を描くことが好きで画家や漫画家、陶芸家や衣裳デザイナーに憧れました。バレリーナにもなりたかったし、小説家やオペラ歌手にも……。その全ての夢を叶えられるのが舞台の世界でした。舞台は総合芸術ですから、台本や絵コンテを書き、歌って踊って舞台美術や衣裳も手掛けられる……。舞台は、夢の詰まった宝石箱なんです。

その演劇人生で転機となったのは?

 やはり、『ゲゲゲのげ〜逢魔が時に揺れるブランコ〜』という作品で岸田國士戯曲賞を受賞したことですね。
28歳の時だったのですが、同世代の劇団仲間も皆生活が苦しくて、この世界で生きていくか辞めるか……と迷いがあった時の受賞だったので、認められたことが、本当に嬉しかった。やっぱり人間、褒められれば嬉しいものです!

書いて演出して出演する〝三足のわらじ〟の大忙し生活。プライベートな時間の過ごし方は?

 芝居以外のことは何もしたくないタイプで、2階へ上がるのも嫌なくらい(笑)。
舞台の稽古や本番で体は鍛えられるので、普段は特別なことをしなくても調子は良いんです。食事も、もともと温野菜やお魚など健康的なものが好きなので、食べたいときに食べたいだけ食べています。あとは、10年ほど前にお医者様から、便秘予防に梅干しかキムチを食べるように勧められてからは、ほとんど毎日キムチを食べています。実は私、辛い物は苦手だったんですが、今ではキムチが大好き。お陰さまで便秘知らずです。皆さんからよく「リラックス方法は?」と聞かれますが、「ありません」
と答えます。リラックスすると死んでしまう気がするんです(笑)。頭の中はいつも常にフル稼働状態で、なかなか寝付けない
のが悩み。泳ぎ続けるマグロと一緒ですね(笑)。

シニア世代に必至!セカンドライフの在り方

シニア世代にピッタリの新作を書き始められたらしいですね。

 次回作のテーマは介護問題。老人のシェアハウスを舞台にする予定です。現在、私の両親も介護施設でお世話になっていますが、そこで介護現場の厳しい現状を知ったことがきっかけです。介護は、環境や対応の仕方によって、老人たちの表情が無くなったり元気になったり、本当に変わるんですね。我が家の場合も一時弱っていた80歳を超える母が、環境を変えたことで見違えるほどになり、先日、久々に山形から新橋演舞場まで舞台を観に来られるほどまで回復したんです。介護士さんへの支援とか、考えていかなければならないことも多いですね。まずは高齢化社会の中で、私たち60代もまだまだこれから何事にもポジティブに挑戦すべきだと感じています。

次回ご出演の舞台『三婆(さんばば)』では個性豊かなお二人と共演されていますね。

 有吉佐和子さんの名作で、シニア世代をテーマにした物語です。舞台は昭和30年代後半、大竹しのぶさん演じる松子が夫に先立たれ、妾の駒代(キムラ緑子さん)と夫の妹タキ(私)の三人が、奇妙な同居生活を始めます。役者としてタイプはそれぞれ違いますが、何よりも三人とも大の芝居好き。信頼できるお二人との丁々発止のやりとりで、笑って泣けて考えさせられる舞台に仕上がると思います!ぜひ劇場に足をお運びください。劇場という異空間に身を置くことで、気分がリフレッシュされること間違いなし!です。

★60歳を超えた今も多くのやりたいことに挑戦し続ける渡辺さん。憧れと尊敬を抱いた取材となりました。

渡辺 えりさん(わたなべ・えり) 
1955年山形県生まれ。’78 年劇団3○○を結成後、’98年の解散まで数々の話題作を発表。女優としての活躍も著しく、’96 年映画『Shall we ダンス?』では日本アカデミー賞最優秀助演女優賞を受賞。現在は、企画集団オフィス3○○(さんじゅうまる)を主宰し、作・演出・俳優として活躍中。只今、新作「鯨よ! 私の手に乗れ」を準備中。また、一般に向けた私塾「渡辺流演劇塾」で後進の指導にも力を入れている。

2016年11月1日~27日 新橋演舞場(東京)にて上演 三婆

 

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