インタビュー

女優 松原智恵子さん

輝く人 インタビュー 9月号 Vol.72

「常に相手を思いやり、気に掛ける温かい心を持ち続けたいですね」

名女優として数々の映画・ドラマに出演し、その可憐な美しい姿で人々の心を魅了し続ける女優=松原智恵子さん。
人と人との「絆」をテーマに、松原さんご夫婦について、そして芸能生活55周年を飾る主演映画「ゆずの葉ゆれて」について伺いました。

ミス16歳コンテストが映画の世界への第一歩

芸能界入りのきっかけは日活の「ミス16歳コンテスト」だそうですね。

 私には、ひと回りほど年の離れた姉が2人いて、小さな頃から常に憧れの存在でした。髪型やファッションなど何から何まで姉たちの真似をしていましたね。「ミス16歳コンテスト」に応募したのもそのひとつ。実は、姉たちもよくコンテストに参加していて、「ミス名古屋」や「ミス海の女王」などを受賞していました。そして、いつもたくさんの賞品を持って帰ってくるのがとてもうらやましくて。「ミス16歳コンテスト」もまさに賞品目当てでした。副賞である東京見学に飛びついたわけです。というのも、あの頃は今でいうキャビンアテンダントになりたくて、東京の外語大学を目指そうと考えていました。だから、下見を兼ねて東京を一度見ておこうと思ったんです。ところが、その東京見学で日活の撮影所に行き、突然カメラテストを受けることになったのをきっかけに、映画の世界へ入ることになりました。

そこで、あっという間に女優としての才能が開花したわけですね。

 上京したのは高校1年生の1月です。まずは、2年生に進級するまでにある程度の見通しを立てることにしました。すると、ありがたいことに仕事は次々と入ってきて、白黒映画でヒロインまで務めました。
16歳で上京し芸能の世界に入ることは、両親にとってはとても心配なことだったでしょう。
でも、その3ヵ月間を経て、私が進むべき道を決めたときは、父は快く受け入れてくれました。そして撮影所の近くに家を建て、そこから手軽に通えるようにと軽自動車も用意してくれたのです。でも父は私が17歳の夏、台風で家の屋根から落ちるという不慮の事故で亡くなりました。軽自動車が届いたのは父が亡くなった後でした。結果的に、それが父からの最後のプレゼントになってしまいました。でも、そうした父のサポートがあったおかげで、私は余計なことも考えず、ただ女優という仕事にまい進することができたんですね。

女優として輝きを放つ中結婚という幸せも手に

「日活3人娘」として世間の注目を集めるさなか、27歳でご結婚されましたね。

 私は、名古屋から上京して以来ずっと、家と撮影所を往復するだけの毎日で、世間はおろか、周りの環境すら何もわからないような状態でした。そんな私にいろいろなことを教えてくれたのが今の主人です。彼に出会ったことで、私の世界が本当に広がったと思っています。たとえば、新婚旅行もそのひとつかもしれません。100日間という長い時間をかけて北アフリカの各国を回ったのですが、なかでも車でサハラ砂漠を走破するというのは、今ではなかなか体験できないことでした。特に印象深かったのは、モロッコからアルジェリアへ渡る際、サハラ砂漠の中にある検問所に泊まった時のこと。一見体が大きく強面の黒人の方が、親切に私にベッドを譲ってくださったのです。翌朝、私はお礼の気持ちから朝食を作りました。今の世界情勢から考えると、あり得ない土地での人と人との温かいふれあいを経験できました。

結婚生活40年以上。今も仲むつまじいご夫婦という印象です。夫婦円満の秘訣はありますか?

 お互いの気持ちを尊重すること、お互いの立場を想像することが大切だと思います。主人は、女優という仕事をよく理解して私をサポートしてくれるので家庭も仕事も両立できている、といつも感謝しています。もちろん、私自身もジャーナリストという主人の仕事を理解するよう努力しています。長年一緒に暮らしているから、何でもわかっているという思い込みは捨てるべき。夫婦という言葉に甘えずに、一人の人として常に相手を思いやり、気に掛ける温かい心を持ち続けたいですね。

優しく温かい気持ちを思い出させてくれる作品

さて、今回主演される映画『ゆずの葉ゆれて』は、松原さんご夫婦のような愛にあふれた作品と聞きました。

 おじいちゃん、おばあちゃん、そして近所に住む家族とその少年……それぞれが互いを思いやる姿がとても丁寧に描かれた作品です。試写をご覧になった人からは、「誰かに感謝の気持ちが言いたくなった」とか、「隣にいた連れに思わずありがとうと言ってしまった」というような感想をいただきました。これからご覧になってくださる皆さまにも、そんな温かくて優しい気持ちが伝わればうれしいです。撮影は長期間にわたって鹿児島の田舎で行われましたが、その際、周辺地域の皆さんからは本当にたくさんの優しさをいただきました。舞台となったお宅ではお昼ごはんをごちそうになったり、畑で収穫されたお野菜をたくさん分けていただいたり。コーヒーやかき氷の差し入れもしてくださいました。映画に描かれるような温かい世界が、実際の撮影の現場にもあったので、今振り返っても楽しい思い出ばかり。いい環境に恵まれて、いい作品が生まれたと自負しています。

最後に、今後の目標を教えてください。

  たくさんの作品に出演させていただく中で、今の仕事がどんどん好きになっていきました。その気持ちは今でも高まる一方です。今回出演させていただいた『ゆずの葉ゆれて』は、原作に惚れ込んで心からやってみたいと思う作品でした。これからも、そんな運命の出会いがあればいいですね。

★ 昔から変わらぬ美しさと気品にあふれた松原智恵子さん。和服姿で優しくしっとりと語りかけてくださる姿に、うっとりとしたひと時でした。

ゆずの葉ゆれて

松原 智恵子さん(まつばら・ちえこ) 
1945年名古屋出身。日活の「ミス16歳コンテスト」入賞をきっかけにスクリーンデビュー。吉永小百合、和泉雅子と共に「日活3人娘」として絶大な人気を誇り、日活全盛期を支えた。これまで120本を超える映画や数多くのドラマに出演している。代表作はドラマ『ある日わたしは』(1967)『龍馬伝』(2010)、映画『トテチータ・チキチータ(2012)など。

 

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