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介護現場 リーダーに求められる役割とは?

特別な世界と捉えられがちな介護業界では、リーダーもその役割を全うできていない場合が多いようです。福祉マネジメントラボ代表の大坪信喜氏に、介護施設・事業所のリーダーが果たすべき役割について伺いました。

本来のリーダーの役割とは?

 介護の現場には、介護リーダー、ユニットリーダーなどさまざまなリーダーとよばれる人たちがいますが、そもそもリーダーとはどういう人を指すのでしょうか。今回お話を伺った福祉マネジメントラボ代表の大坪信喜氏は、「スタッフを通して目標を達成する組織人がリーダーである」と定義しています。そしてユニットリーダーのように職種として定義されているリーダーと、役職としてのリーダーは全く別ものだといいます。したがって「日替わりの当番制リーダー」「介護スキルしか教えられないリーダー」「自分のやり方をやたら主張するリーダー」といった人たちは、真のリーダーとはよべません。介護の職場には得てしてそうしたリーダーが見受けられるようですが、それは「介護の職場は特別な世界だと考えている人が多いから」と大坪氏は指摘します。
 人との関係や世の中との関係は、どんな職業に就いても同じです。一般企業では、自分たちの会
社がお客さまにどのような価値を提供できるかを常に考えています。メーカーでもサービス業でも仕事の基本はどんな職業であっても同じなのです。
介護業界だけを特別と考えず、介護の現場も一般企業と同様に「組織」として仕事をする必要があるのではないでしょうか。
 これからのリーダーは、「利用者の介護だけが仕事である」という考えから脱却し、職場を俯瞰(ふかん)してみる習慣を持つことが必要です。何でも自分でやろうとせず部下スタッフを信頼して仕事を任せ、自分の時間を作り、職場全体の仕事を設計することこそが、リーダーの役目なのです。「リーダーは利用者2割、職場とスタッフに8割という意識でいるとよい」と大坪氏は言います。

自己満足と利用者満足を混同しない

 大坪氏が主催しているリーダー研修では、まず職業観に関する講義を行います。「会社や法人にどのような貢献をすべきか?」「誰のために働くのか?」「何のために働くのか?」など、働くことに対する意義を再確認してもらうのです。そうした質問をすると「お年寄りの笑顔が見たいから」と答えるリーダーもいます。一見すると素晴らしい職業観のようですが、これは自己満足的な介護観であって職業観とは違うものです。こうした考え方は、新しい改善にチャレンジしないための言い訳や自己防衛の手段になりやすく、自己満足と利用者満足を混同していると「これは私の仕事ではない」「自分の給料ではそこまではできない」といったように、職業人としての意識が欠如してしまいがちだといいます。

利用者満足を客観的な数字で語れる。

 職業観のほかに、施設・事業所の中で真のリーダーになるための道しるべとなるのが、「離職率」「事故率」「利用率」という3つの指標です。これらを日々意識しながら行動することで、組織としての生産性が向上します。
 離職率には職員を大切にしているかどうかが如実に表れ、働きやすい職場かどうかを推し測ることができます。あるリーダーはスタッフルームに『褒め合いメッセージ』というボードを掲出し、スタッフ同士が直接会えないときでも、そのボードを通じてお互いに褒め合えるようにしたそうです。すると、職場に活気が出てきたといいます。こうした働き掛けもリーダーの大切な役割です。
 事故率においては、特に「同じ事故が起きていないかどうか」をチェックすることが有効です。
一度起きた事故から学びを得て、改善に役立てているかがわかるからです。
 また、利用率を意識することは、いうまでもなく利用者の満足度、施設の充実度などを高めるために役立ちます。そして具体的に「離職率を10%以内に抑える」「事故率を前年比10%減らす」といった目標値を設定して達成していけば、より良い施設・事業所になっていくでしょう。 
 先日、2年前まで関わっていたある特別養護老人ホームのリスクマネジメント委員会の委員長から「年間の誤薬件数30%削減という目標を無事達成できました」という嬉しいメールがあったそうです。このように明確な目標を持ったリーダーは、利用者満足を客観的な数字で語ることができます。
 また大坪氏は、リーダーとしての資質を高めるために一番大切なのは、介護スキルではなく「謙虚さ」「素直さ」、そして「向上心」といったマインドだといいます。「もっといい方法はないか?」と、自分の行動を素直に見つめ直すことで、リーダーとしてはもちろん人間としても成長していくことができるのです。あくまでも「スキルではなくマインド」。マインドがあれば知識・技術は後からついてきます。
「新たにリーダーに登用された人、あるいは将来リーダーになって会社や法人のために頑張ろうと考えている人には「5年後自分はこうなりたい」、「いつかはこのような立場で、もっと世の中に貢献したい」という目標をもって欲しい」と大坪氏は言います。「こうなりたい」という目標を持ちながら日々の仕事に愚直に取り組んでいる人だけが、将来、その目標や夢を実現できるようなチャンスに恵まれるのではないでしょうか。

福祉・介護の職場改善 リーダーの役割を果たす

大坪信喜さん福祉マネジメントラボ代表  大坪信喜氏(おおつぼ・のぶよし)
富士通でシステムエンジニアとして勤務後、介護福祉施設で事務長や施設長を務めた後、経営コンサルタントに転身、平成27年同社創業。アクア株式会社(介護施設経営)取締役。株式会社サンライズ代表取締役社長。社会福祉法人鴻鵠の会理事。著書「リーダーの役割を果たす」、「会議・ミーティングを見直す」(いずれも実務教育出版)

 

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