コラム

人情で生かされた私の半生【2】

〝年月は体を老いさせるが前向きに燃えて生きる情熱があれば心は老いない 最後の目を閉じるまで前向きに生きよう〟
古き良き貧しき時代の北国で、感謝の気持ちを胸に懸命に生きた半生を綴ります。いつの時代も、人は人の温かさのおかげで生きられるのではないでしょうか。

第26章 夫の急病、過酷な看病の日々

 店を鉄筋コンクリート3階建てに建て替え、明日は引っ越しという時に、主人が突然倒れ、脳溢血(のういっけつ)と診断されました。一時は手の施しようなしと言われましたが、札幌の医大の隣にある有名な脳神経外科で手術後、意識が戻り話ができるようになってホッとしました。でも体は動かず、私は食事の世話、下の世話、そして洗濯などでゆっくり眠ることもできず、着の身着のまま風呂にも入れず、頭は白髪になるし、体重は10㎏あまり減りました。でも代わってもらえる人もいないので、耐えて看病するしかありません。息子は店の仕事があるし、お嫁さんには小さい子どもがいます。姑は、上の小姑の目が見えなくなり、その世話で一杯いっぱい。高速道路もない時代で北見は遠過ぎました。娘2人は京都の大学と東京の大学に入っていました。
その下の娘が冬休みに帰ってきた時、そんな私を見かねて私が倒れてはと、大学を休学し看病の手伝いをしてくれることになりました。できるだけ病院に近い札幌市内の安いアパートを借りて住み、アルバイトをしながら週1回、1日1晩看病してくれました。ひと間しかないそのアパートは、お風呂と小さな台所、そしてベッドが1つのまるでホテルのような感じでした。
私は、お風呂に入り、娘のための食事を用意してベッドに入っても、主人のことが気になって熟睡できず、結局は朝早く起きて病院へ向かっていました。
 主人と同室の人は他に2人いて、そのうちの1人は横浜に本社のある大きな会社の支店長さんでした。娘が主人を看病しているのを見て「明るくてよい娘さんだ、ぜひ息子の嫁に」と言われました。でも息子さんに話したら、すでに恋人がいて返事はNO。そして娘も、アルバイト先のお客さんで音楽をやっている人を好きになり、アメリカに行くことになりました、現在はアメリカ国籍となっています。
 私はベッドの下に毛布を敷いて横になり、主人の手と私の手を紐で結んで、何かあったら紐を引っ張るようにと言ってありました。そんな私が席を離れている時、主人は同室の人達に「妻は商人としては100点満点、女房としては98点」と言ったとか。     
             
※次号に続きます。

下斗米 ミチさん下斗米(しもとまい) ミチ
1923年9月24日 北朝鮮 新義州に生まれる
1971年4月(株)福村書店代表取締役就任 
現在に至る
北見市法人会理事、北見市法人会女性部顧問、北海道中小企業家同友会オホーツク支部相談役、北見市社会福祉協議会評議員、オホーツク地域自治研究所副理事長、ふるさと銀河線再生ネットワーク代表 オホーツク ローカル情報誌『HARU』編集長
著書:北の町に本を届けつづけた女社長のふんばり人生『母さんの風呂敷包み』(扶桑社)

 

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