コラム

すこやかな心で介護トラブルを防ぐためのお悩み相談室 Vol.69

言葉はその人の全人格にかかわる

私には、家庭の幸福の原点であり、人生万般(ばんぱん)の基礎であり、真理だと信じている言葉があります。

幸せなよい家庭とは平和で朗らかでうるおいがあり両親が仲よく笑顔に輝いていること

毎年、年末になると20通ほどの喪中はがきが届きますが、私は必ず返信を出すので、喜ばれています。なかには故人とご家族の生活やお人柄が感じられるお返事をいただき嬉しいものです。その中から2例を紹介します。2家族共じつに家庭円満、事業繁栄で人情味あふれ、地域に貢献されて敬愛すべき生活者です。

一関市のSご夫妻

 先日は御丁寧なお悔やみのおはがきを頂戴し、ありがとうございました。幾つであっても母(93歳)を亡くした寂しさは変わらず、もっと孝行すべきことがあったと悔いは残りますが、亡くなる2ヵ月前まで寝たきりにもならず、共に生活できたのはありがたいことでした。御礼申し上げます。

別府市のKご夫妻

 昨年12月、母が他界したため年賀状は欠礼させていただきました。母は12月に百寿を迎え、子・孫・ひ孫総勢40名余りからの祝賀を受けて、その後も何の日常と変わりなく、小間物作りに精を出し過ごしていました。当日「ちょっと苦しい」と訴え、もう30分後にはあの世へ旅立っていました。この世には何も未練なくお迎えを待っていたようです。「お見事!」でした。生前中は皆さまに可愛がっていただき、母はいつも喜んでいました。感謝申し上げます。

事例① 義父母ら4人の介護苦しい(50代後半の主婦)

60代の夫と30代の子ども2人、80代の義父母の6人家族。近くの実家で80代の母と、兄が暮らしています。3年前に義父が認知症になり、さらに昨年、義母と実母が認知症になりました。兄は十数年前の交通事故による障がい者。20年以上うつ病の私も含め5人で10科以上の病院にかかっています。4人には私が付き添います。夫は寡黙な性格で何を相談しても黙っているばかり。子どもは収入が少なく自立していません。近くの義弟夫婦もギリギリの生活で月に1、2度しか来ません。4人を介護。無理でもやるしかないと思いますが、今は体を休めたい。この生活が続くと思うと絶望的になります。

木村先生のご意見

4人も病人を抱えて心身を病まない方が不思議です。多重介護にも限度がありますから、あなたの病状と介護の実態を含め率直にケアマネジャーと相談なさると良いでしょう。医療から介護まで、専門家の知恵を借りれば新たな計画を提示してくれるはずです。
 なお、扶養の義務は義弟夫婦を含め家族全員にありますので、子どもも同居する限り、家事を分担するのは当然で、夫にも何か1つ役割を持たせると良いでしょう。
 大変な時は皆でよく相談し知恵を出し、協力し合い、励ましながら当面の大ピンチを切り抜けてください。

事例② 夫の言動に愛情冷める(60代後半の主婦)

夫は70代前半。結婚して40年になります。5、6年前に突然「俺はお前と結婚するつもりはなかった」「お前も家族も皆嫌いだ」と言われました。思えば、そのころから高校時代の同級生の女性とメール交換したり、こそこそ電話したりしていました。クラス会は毎年2人で幹事を務め、会場の下見や食事に行き、プレゼントも贈り合っていました。夫はそのことを隠していましたが、ばれると「自分は何も悪いことはしていない」の一点張りです。
 皆からは「優しいご主人ね」と言われますが、実際は違うのです。家では食事中の会話もなく、寝室も私の方から出て行ったので別々です。尊敬し、尽くしてきたつもりですが、夫のあの言葉で私の気持ちは急速に冷めました。何のために今までやってきたのか、毎日悩んでよく眠れません。

木村先生のご意見

 夫の言動にかなりのショックを受けておられるようですね。すでに家庭内別居状態で、それなりの対抗策を講じているようですから、この辺で「よし」と区切りをつけてさっぱりしたらいかがですか。「憎めば憎まれる」「嫌うものには悩まされる」と言います。相手にしないと言えば無責任ですが、ここは「気持ちの上で勝る」ことが賢明です。毎日悩んでよく眠れないのは、自分のスケールの小ささゆえと気づき、元気な60代を大いに楽しんでください。

木村重男先生から皆さんへメッセージ

 人間関係で最もむずかしいのは「夫婦」であり、長期間良好な関係を保つには忍耐と寛容の連続です。 結婚以来「ずっと愛に満ちた夫婦」でいる人はまれです。相手への愛情も感情もその折々で変化するのは当然のこと。「言葉の傷は刃物の傷より深い」と言います。夫婦の場合も「その一言」が命取りになって、長年の努力や誠意が一瞬に水泡に帰すことはめずらしくありません。
 感情的になってつい「売り言葉に買い言葉」になり、自他ともに致命傷を負い、一生後悔したり不幸になることがあります。日ごろからいかに感情のコントロールをしながら生活するか、いかに理性を働かせてブレーキをかけて危難をまぬがれるか、毎日が人生の勉強です。言葉はその人の全人格にかかわる大問題だけに、「禁句」をつねに肝に銘じて生活したいものです。

木村重男さん木村重男(きむらしげお)
1933(昭和8)年生まれ 83歳
一般社団法人倫理研究所 参与。
文部科学大臣から社会教育功労賞を受賞。著書に『夫婦の玉手箱』『豊かな人生を拓く玉手箱』など多数。

 

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