今月の気になる

「ジェネリック医薬品」がこれからの日本を救う

ジェネリック医薬品の可能性

山口社長は1994年、一部上場企業の中でもっとも若い社長として就任されたと伺っています。当時の製薬業界の状況と、社長就任時の思いをお聞かせください。

1990年代の製薬業界は、海外では大きな市場を持つ生活習慣病を中心とした新薬(先発医薬品)の開発が主流で、それに伴って研究開発費などに膨大な費用がかかるため、企業同士が合併するなどの再編が進んでいました。国内では海外ほど企業再編が大きく進むことはありませんでしたが、世界で通用する画期的な新薬
が相次いで開発された時期でした。
私が社長に就任した当時は自社新薬の「鎮痛剤」がやっと発売できた一方、財務面では売掛金が過大に膨らんでおり、その圧縮が喫緊の課題となっていました。社長就任にあたっては、この財務上の問題を早急に解決し、これまで以上に専門性を持った研究開発型企業を作り上げていきたい、という決意に燃えていました。同時に、ジェネリック医薬品の将来性も薄々感じておりました。

新薬メーカーである日本ケミファが、ジェネリック医薬品※への進出に舵を切ったのには、何か転機があったのでしょうか。

政府がジェネリック医薬品の使用促進を打ち出したのは2002年ですが、日本ケミファがジェネリック医薬品事業に本格的に参入したのは、その2年前の2000年のことです。弊社が大きな期待を寄せていた新薬の承認許可が下りず、抜本的な経営戦略の見直しも余儀なくされていました。当時はバブルが崩壊し、金融機関が経営難に陥るなど、将来的に日本の医療財政面はジェネリック医薬品が重要視されるだろうと判断しました。そこで事業の柱となる主力事業をジェネリック医薬品とし、新薬事業は得意領域などに絞り込んだ経営方針にしました。

※ジェネリック医薬品とはジェネリック医薬品(後発医薬品)は、先発医薬品と治療学的に同等であるものとして製造販売が承認され、一般的に開発費用が安く抑えられることから、先発医薬品に比べて薬価が安くなっています。
【厚生労働省ホームページ参照】

新薬メーカーとして果たせる貢献を

当時ほとんど知られていなかったジェネリック医薬品への進出には、ご苦労があったのでは?

当時ジェネリック医薬品については、医療関係者の間でさえも今ほど馴染みがありませんでした。新薬メーカーである日本ケミファが、なぜジェネリック医薬品を大々的に扱うのか?周囲から否定的な意見もありました。なぜなら、ジェネリック医薬品に関する品質基準や審査機関が整備されていなかった時代の「安かろう、悪かろう」といったイメージが根強くあり、品質や安定供給に対する不安を訴える人も多かったからです。こういった状況のなか、新薬メーカーとして培った品質・安定供給に対する体制や、情報提供をしっかりと行うことを前面に、そういったイメージや不安を払拭していくことに相当な努力を費やしてきました。

ジェネリック医薬品事業における日本ケミファの特長を教えてください。

新薬と同じく、開発から製造、販売までの一貫した体制を持っていることです。国の政策もあり、多くの会社がジェネリック医薬品の販売に参入しましたが、同様の体制を持つ会社は多くありません。原薬の選定(吟味)・調達からスタートすることは手間と時間が膨大にかかりますが、医薬品メーカーとしてしっかりと責任を持って薬を供給していくためには、大切なことだと考えています。

安心・信頼・効き目を最優先に

厚生労働省はジェネリック医薬品を使用促進しています。それに関して日本ケミファではどんな取り組みをされていますか?

今では認知度が向上し市民権を得てきているジェネリック医薬品ですが、先ほども申し上げたように当時は今と比較すると、医師をはじめ医療関係者の間でもイメージが良いものではありませんでした。弊社では医療関係者の皆様に、
まずは医薬品メーカーの立場からジェネリック医薬品を正しく理解してもらうために、全国の弊社MR(医薬情報担当者)を介して情報提供に努めました。また、医療関係者の皆様から患者さんに説明しやすいように、説明シートやポスターを作成するなどしてジェネリック医薬品の普及に取り組んでいます。
品質面では原料の選定から始まり、さまざまな試験を行って、最終的に患者さんが安心して使用できる製品を目指して開発を進めています。さらに万一、震災などの災害に見舞われたとしても、患者さんのお手元へ確実にお届けするために建物や設備の整備を進めています。

日本ケミファのジェネリック医薬品では、どのような工夫がされているのでしょうか?

医師や薬剤師が患者さんに薬をお渡しするときに間違いがないよう、弊社の薬は両面に、薬の種類と規格(含量)をわかりやすく印字記載していると共に、PTPシートなどにユニバーサルフォントという見やすい文字を使用しています。また、水なしでも口の中で溶けるOD(オーディ)錠の製造や、飲みやすくするために薬の味を工夫したものもあります。

私たちの医療への関心が日本の未来を守る

テレビの情報番組などでお医者さんが登場するのをよく目にするようになりました。最近の健康ブームについて、どのようにお考えですか。

弊社も健康番組でCMを提供していますので、そういった番組を観ることがあります。医師がテレビなどで医療情報をわかりやすく正しく伝える機会があるというのは、とても良いことだと感じています。まずは病気にならないよう予防に努めることが、誰にとっても大切ではないでしょうか。私も休みの日にはできるだけ多く歩いたり、真夏でも冷たい飲み物は控えたりするなど、できることから健康維持に努めています。
弊社では、これからも健康情報やジェネリック医薬品についての正しい情報を、多くの人にわかりやすくお伝えできるよう努力していきたいと考えています。

★最近よく耳にするジェネリック医薬品。その普及の裏には、多くの時間と努力が注がれていました。私たちのより良い生活は、私たち一人ひとりが健康や医療に関心を持つことで実現されるのかもしれません。

日本ケミファ株式会社 代表取締役社長 山口一城氏

日本ケミファ株式会社 代表取締役社長山口一城(やまぐちかずしろ)氏

昨年、厚生労働省が発表した2013年度の「国民医療費」は、40兆610億円。7年連続で過去最高を記録しました。増加に歯止めのかからない国民医療費は、財政を圧迫する大きな社会問題となっています。
国はその対策のひとつとして「ジェネリック医薬品」の普及に取り組んでいます。
果たしてジェネリック医薬品は、日本の未来を変えられるのか?
いち早くジェネリック医薬品への取り組みを推進してきた日本ケミファ・代表取締役社長 山口一城(やまぐちかずしろ)氏にお話を伺いました。

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