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運転免許証の自主返納を機に考えた高齢ドライバーによる交通事故

高齢ドライバーによる交通事故

免許返納に代わる対策は?

 近年、アクセルとブレーキを踏み間違えたりするといった高齢者の重大交通事故がいくつも報じられ、高齢ドライバーの運転免許自主返納が推奨されています。実は私自身も、以前からの予定どおり満85歳の誕生日を機に、運転免許証を自主返納しました。しかし、車以外の交通手段が乏しい場所で暮らす人たちにとっては生活のための移動手段を奪われますので、一定の年齢で一律に免許返納を求めるのは難しいことでしょう。
 また最近、筑波大などの研究チームが発表した調査結果によれば、運転をやめた高齢者は、運転を続けた高齢者と比べて要介護リスクが約2倍になることがわかりました。この中でも、運転はやめても公共交通機関や自転車を利用して移動していた人の要介護リスクは1・69倍だったのに対し、運転をやめた後、移動を家族などによる送迎に頼っていた人では2.16倍になりました。つまり人は、能動的に移動する手段を失うほど、活動量が減って要介護リスクが高まることがわかったのです。このことは、私自身も肝に命じなければなりません。
 免許の自主返納を考えるに際しては、生活地区や環境、身体能力や認知機能など、人によって状況が違うことを考慮しなければなりません。免許返納のタイミングを家族の説得や自らに任せるのではなく、公的機関で客観的に評価し、合否を決める制度も検討する必要があるでしょう。そして、もっとも現実的な対策として検討されているのが、自動ブレーキなどの安全運転支援システム塔載車に限って運転を許可したり、走行区域を限定したりする案です。政府もシニアドライバー専用の新しい運転免許制度の創設を検討していますので、一刻も早く実現してほしいものです。


森 惟明(もりこれあき)
高知大学 名誉教授

 

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