コラム

【最終回】精神科医が教える老後の人生スッキリ整理術④

ものを整理し、心を整理すれば、老後に向かう心もスッキリと見通しがよくなります。
それまでの自分の生き方を見直し、本当に必要なもの、大事なものだけを見きわめる、生き方の「棚おろし」をはじめませんか?

大欲に生きる

 医療ビジネスを展開する会社を訪れたことがあったのですが、通された社長室に「大欲(たいよく)に生きる」という額が掲(かか)げてありました。株式会社なのだから、利益を最大限追求するというようなことかと思いましたが、社長室に掲げる言葉としてはいささか生々しすぎます。そこで、その意味するところを伺うかがったところ、「大欲に生きる」とは、真言宗で尊ばれる『理趣経(りしゅきょう)』という経典(きょうてん)にある言葉とのことでした。
 人間はもともと欲求の塊のような存在だ。欲があるから、成長し、進化もするのだと言えるし、欲があるから争いが絶えないのだともいえる。よくも悪くも、欲に左右されて生きている。それが人間という生き物。だから、その欲を捨てろというのは無理がある。そこで、逆転の発想と言うべきか、いっそ思いきり欲に徹せよ、と説いているのです。欲をどんどんふくらませていけというのです。
 その社長は、たとえば社員に、「欲望を100個、書き出すように」と指示するそうです。
 ①もっと給料が欲しい、②かわいい彼女が欲しい、③マイホームが欲しい……。
 だれでも、最初はどうしても自分起点の欲を書いていくとのことです。
 ところが、100個も書き出そうとすると、自分起点の欲だけでは限界に達する。その先は、まわりの人にこうなってほしい、こうしてほしいという欲になり、さらに広げていくと、社会がよくなってほしい、地球上の人々すべてが幸せになってほしいと欲望が大きく羽ばたいていくそうです。
 その結果、社会のため、地球のために貢献できる生き方を志向するようになる。それが「大欲に生きる」という言葉の真髄(しんずい)なのです。
 大欲と言えるかどうかはわかりませんが、私は、 子どもを一人前にするという責任を終えた後の人生、老後は「社会に役立つ」生き方に目を向けるべきではないかと思っています。自分のためだけに生きる日々は、どこか虚(むな)しいからです。
 社会のためになる生き方といっても、社会貢献事業をしろというような大げさなことでなくていいのです。たとえば、禅(ぜん)に「折水(せっすい)」と呼ばれる作法があります。食事が終わったあと、食器は流しで洗わず、最後に器にお湯を注(そそ)ぎ、一切れ残しておいたタクワンで拭うのです。洗ったお湯は少し残して、折水器と呼ばれる桶に捨て、残した少量は飲み干す決まりです。折水器のお湯はあとで樹木の根元にかけ、樹木の成長の糧(かて)にします。
 これも立派に社会のためになることでしょう。
 年末などに、年金から手にする小遣(こづか)いのほんの一部を、世界の恵まれない子どものために寄付する。はがきなどはそうした団体のものを買うようにする。コンビニなどでもらうお釣りの小額コインは、レジの寄付箱に入れると決めておく。
 ささやかな社会貢献ですが、それでも心は充たされるでしょう。
 情けは人のためならず、といいます。また、「はね返りの法則」というのを聞いたことがあります。人のためにしたことは、必ず自分に返ってくるという。年齢を重ねてくると、こうしたことが自然に信じられるようになるから不思議です。

 

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