コラム

命涯(かぎ)りあり知は涯りなし⑬

命涯りあり知は涯りなし

人にはそれぞれの生き方があり、人生にはドラマがある。私もいつの間にか86歳になった。
ふと、あと何年生きられるかと思うことがある。必死に生きてきた私の半生を書いてみたい。

⑬講演を通して伝えたかったこと

 敗戦後、台湾引き揚げから間もなく両親を亡くした私は、昼間は薬局で働きながら高校の夜学を卒業した。そして昭和32年4月、一般社団法人倫理研究所へ入所後、同じ職場で勤務していた妻と結婚。男ばかり6人の子を育てながら、倫理の普及活動に奔走した。

台湾の少年院での講演

 倫理普及に情熱を注ぐなか、刑務所や少年院、警察学校からの講演依頼もたびたびあった。
 平成12年5月22日、台湾・台中市彰化少年輔育院(少年院)にて、収容されている18歳未満の男女560名に講演を行った。
 テーマは『命(いのち)涯(かぎ)りあり知は涯りなし』―青春は短い、宝石の如(ごと)く磨け―
 ここでは市原刑務所で行った講話がおおいに役立った。苦い経験を生かし、同じ過ちを2度と繰り返さない。親兄弟を泣かせたり、周囲に決して迷惑をかけたりしないことを誓わせた。
 具体的には、日常生活の問題点として下記項目を各自がチェックすることで再出発を促うながした。
 ❶時間にルーズで約束が守れない
 ❷働くことが嫌で仕事も長続きしない
 ❸すぐ感情的になって腹を立て、誰にでもかみつく
 ❹責任感に乏しく、すぐ人のせいにする
 ❺人の好き嫌いが激しく、気に入らない人をバカにしたり、ののしる
 ❻計画性がなく、金銭にだらしがない
 ❼調子にのりやすく、他人に左右される
 ❽偉そうなことをいう割に意い くじ気地がない
 ❾見栄っぱりで素直さがない
 ❿してもらうことがあたり前で、感謝することを知らない
 中華民国92年(平成15年)3月11日、台湾への長年の倫理普及に対して、中華民国倫理研究学会李聰熙理事長より感謝状をいただいた。

警察学校での講演

 平成13年3月30日、埼玉県入間市の消防職員への講演でも「あなたは消防職務の重要性に深い理解を示され消防研修における職員の職務倫理教養に多大な貢献をされました ここに感謝の意を表します」という感謝状を、入間東部地区消防組合消防本部消防長から拝命した。
 また、平成13年11月16日、千葉県八千代市警察署で職員教育での講演に対しても「あなたは警察運営に深い理解を示され職員に対する職場教養の一環として「いい生活より、いい人生を」という演題で御講話をいただき職員の人間形成に多大な貢献をされました ここに感謝の意を表します」という感謝状を、千葉県八千代警察署長から拝受した。
「皆さんは社会の治安維持のためのすばらしい任務に就いておられる。日々精進して自分に誇れる人生を持っていただきたい」という私の話に、会場を埋めた約100人の制服姿も凛々(りり)しい警察官たちは寂として声明く、感動しながら聞き入ってくださった。
 警察学校での講演はさらに続いた。
 ○平成12年9月29日 埼玉県警察学校での講演(500名)
 ○平成14年11月15日 埼玉県警察学校での講演(初任科生107名)
 ○平成16年4月15日 埼玉県警察学校での講演(初任科生300名)
 テーマは『いい生活より、いい人生を』。おもな内容は、物に恵まれ生活は豊かになったが、繁栄のかげで失われたものはたくさんある。モノを粗末にしたり、自己主張のみの生活が横行している。
戦後の忘れもので、おもなものは
 ❶思いやりの心が希薄(きはく)になった
 ❷自己主張が強く、「分(ぶん)」をわきまえなくなった
 ❸ 畏敬(いけい)の念が失われた
 ❹耐え忍ぶことが下手になった
 ❺人、物、自然に対する恩意識が欠如(けつじょ)した
 警察学校の初任科生への講演で全員にプリント配布したおもな講演内容を以下に紹介する。
〈趣旨〉
 人にはそれぞれの人生があります。目先のことにとらわれ、一喜一憂して、自分の出世や幸福のために汲々(きゅうきゅう)として生きている人が、大勢います。
 しかし、2度とない人生です。自分の職業や勉強をとおして、自己を向上させ、いくらかでも人のために役立ち、自分に誇れるような、いい人生がおくれたら、その人にとって最高の幸せではないでしょうか。日本に生まれ、育った私たちは、美しい日本の建設と健全な地域社会づくりのために、お互いに日々精進しようではありませんか。
〈内容〉
 ❶私の人生を変えた一枚の感謝状――世の中には自分にしかできないことがある(人命救助101号他)
 ❷挫折やピンチがその人を大きくする
 ――ピンチに負けるな、失敗は尊い月謝。それを糧(かて)に大成すればよい
 ❸恩意識の高揚が個性を発揮させる
 ――自分一人の力で今日があるのではないという感恩感謝の念が大切
 ❹警察官の自覚と強い使命感が自己を向上させる
 ――善悪のけじめと正義感の体得
 ❺自分に誇れるようないい人生をおくるための「三心」
  ①初心を忘れないこと
  ②良心(公徳心)を磨くこと
  ③公僕心に徹すること

木村重男さん木村重男(きむらしげお)
1933(昭和8)年生まれ85歳
一般社団法人倫理研究所 参与。
文部科学大臣から社会教育功労賞を受賞。著書に『夫婦の玉手箱』『豊かな人生を拓く玉手箱』など多数

 

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