コラム

楽しく百歳、元気のコツ①

楽しく百歳、元気のコツ

同じ生きるなら明るく生きた方がいい。今日を一番いい日に!何度も読み返したくなる百歳のメモリアルエッセイ。

スルメイカで塩辛作り

六月は衣替えの季節ですね。夏服に着替えて身も心も軽くなるとき。同時に、うっとうしい雨の季節でもあります。
雨が降ると、子どもは喜んで水たまりのなかを跳びはねたり、傘を振り回したりしますね。靴や服を汚して帰ってくると、お母さんはつい叱ってしまうこともあります。そんなとき、せめておばあちゃんやおじいちゃんは「元気でいいわね~」と、おおらかに受け止めたいですね。
梅雨の時季、雨で外に出られないときも、家の中でできるお楽しみの仕事があると、憂うつな気分を吹き飛ばせます。
おすすめしたいのが、旬のスルメイカを使った塩辛作りです。「市販のものは塩辛過ぎる」という人も、自分で作れば、好みの味にできます。梅干しや梅酒作りなど梅仕事も、この時季ならではの楽しみです。季節の果物を食べるのもうれしいものです。ビワやサクランボなど値段は高いけれど、たまには、ささやかなぜいたくをして旬の味を楽しみたいですね。

残された者の生き方

 読者の方から「夫を亡くした悲しみから、なかなか立ち直れない」というお便りをいただきました。
百年近く生きてきた私も大切な人をたくさん見送ってきました。親しい人に先立たれた悲しみを乗り越えるのは、簡単なことではありません。周りがどんなに背中を押しても、本人が何とかしようと思わない限り、立ち直ることはできないものです。
家族を亡くす以外にも、進学や結婚などで子どもが自分のそばから離れていく寂しさもあるでしょう。
ただ、残された者にも生活があり、いつまでも泣き暮らすわけにはいきません。そしてせっかくなら、つらい、寂しいと嘆きながら生きるより、どこかで区切りをつけて、新しく始まった一人の生活をどう楽しむか、前向きに考える方がいいと思いませんか。
そういう私も夫が亡くなったときはショックで、食べることが好きな私が料理をする気にさえなりませんでした。でも、あるとき外で好物の柿の白あえを食べたら、本当においしくて「ああ、もっと食べたい」と思いました。それで自分で作ろうと台所に立ったら、体が軽くなり、心も軽くなったようでした。
「いまの一人の時間は、夫や姑が私に『いままでご苦労さん』と手渡してくれた贈り物なのだ。だったら悲しむばかりではなく、毎日を充実させて、仕事も一生懸命して生きなくちゃ」と思えるようになったのです。
一人になれば、それまで家族のために費やした時間も、すべて自分のものです。自分が食べたいものを作ればいいし、食事の用意が面倒なら、外でおいしいものを食べてもいい。
自由と孤独は紙一重で、自分をどちら側に置くのかは、自分自身にかかっています。大切な自分の持ち時間は、自分のために、できるだけ幸せに過ごしたい。物事の良い面を見つけられる自分でいられるように、私もいつまでも前向きな心を忘れないようにしたいと思っています。

(2016.6.12)

 

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