コラム

精神科医が教える「がんばらない老後」のすすめ③

がんばらない老後

日本人の平均寿命はぐんと伸びました。「定年」や「子の独立」は人生第二のスタート地点。
のんびり手を抜いて、自分自身のために気楽に生きはじめましょう!少し適当でストレスのない「第二の人生」の楽しみ方を精神科医が伝授します。

朝ごはんは自分で作らなくてもOK

 人間のエネルギー源といえば、食べ物です。食べ物がなければ生きていくことができません。また、食べ物の選び方が悪ければ病気になることもあります。生活習慣病はその代表的なものですね。とはいっても、食べることは「喜び」「楽しみ」という要素が強いため、「自分の好きなものばかりを食べてしまう」「必要以上に食べ過ぎてしまう」という傾向があります。
 つまり「きちんとした食生活をおくらなくてはいけないと頭ではわかっていても、それを実践するのは難しい」ということです。それでも、家族のように何人かで食事をするのなら、それぞれ食べるものの好みもあるので、必然的にさまざまな料理の食卓になります。また、お互いの目があり、それが食べ過ぎを抑制する力になります。
 しかし、ひとり暮らしの場合は、自分の好みの料理が並び、何時に食べるのか、どれだけ食べるのかも本人の気持ちひとつで決まってしまいます。とくに男性の夕飯は注意が必要です。「枝豆とビール」「冷ひややっこ奴と日本酒」「焼き鳥と焼酎」のように、およそ夕飯とはよべないようなものを口にして、酒の勢いで寝てしまう人も多いようです。こんな食生活では、健康な体を維持することは難しいでしょう。
 ひとり暮らし歴2年目の長山さんは、最近ぐっと若返ったと仲間うちで評判になっています。そんな若返りの秘密を仲間のひとりが尋た ずねてみると、「そりゃあ、朝ご飯がいいからに決まってるよ」
 どんな豪華なものを食べているのでしょうか。そこでメニューを尋ねると、「トーストと目玉焼きとか、塩鮭(しおざけ)と味噌汁なんかだけど」 と、ごくごく普通の答えです。
 さて、このメニューのどこに若返りの秘密が隠されているのでしょうか。それは食べている内容ではなく、場所に関係がありました。実は長山さんは半年ほど前から、ファミリーレストランで朝食を食べることを日課にしていたのです。
 それまでの長山さんは、寝起きが悪く、朝食はコーヒーや日本茶だけですませていました。 そのせいか、体をゆっくり休めているにもかかわらず、午前中のはっきりしない気分はなかなか改善されません。
 そこで、長山さんは、かかりつけの医師に相談してみました。すると、「朝ごはんは、しっかりと食べてください。そうしないと、脳に栄養がいかないから、いつまでたってもぼんやりしたままなんです。それに朝食抜きを続けていると、生活習慣病にもなりやすいんですよ」
 そう言われたのです。さすがに医師にここまで言われたら、朝食をとらないわけにはいきません。しかし、朝はやっぱり朝食を作る気にはなれないのです。
 そこで、仕方なく自宅から歩いて15分ほどの場所にある、24時間営業のファミリーレストランに足を運んでみました。

ファミリーレストランを賢く利用する

 それまでファミリーレストランに足を踏み入れたことのなかった長山さんは、ファミレスは「若い家族連れや学生たちが行くところ」と思っていました。そのため、「ひとりで行くと、変に思われないだろうか」「自分が食べられるようなメニューがあるだろうか」「年配の自分が店の雰囲気になじめるだろうか」など、さまざまな不安を抱えていたのです。
 しかし、店に入ったとたん、そんな不安はすぐになくなりました。
 なぜなら、店内には幅広い年代の人がいて、それもひとりで食事をしている人がたくさんいたからです。心配していた朝のメニューも充実しており、パン+卵料理のほかにも、具だくさんのサラダセット、焼き魚と味噌汁と納豆がついた和風の朝食セットなども用意されていました。
 そして何よりうれしかったのは、スタッフの「いらっしゃいませ、おはようございます!」という元気いっぱいの挨拶(あいさつ)。ひとりで暮らしていると、外に出る以外は「おはようございます」を言う相手がいませんから、とても新鮮だったのです。
 また、自宅からレストランまで歩いたせいなのか、頭も体もすっきりと目覚め、メニューを見る頃にはお腹なかの虫がグーグーと鳴り出すほど。久しぶりに「ああ、うまい」と思って朝食を食べることができました。
 最近の長山さんはファミレスのほかにも、牛丼のチェーン店、スタンドコーヒー店、近所の喫茶店など、モーニングを提供している店を次々に開拓して、楽しみの幅がグーンと広がったそうです。
 朝食や夕食を外食にすれば、そこそこの出費を覚悟しなくてはなりませんが、モーニングセットはサービスメニューとして出している店が多いので、割安感があります。これも、「がんばらない老後」の生活の知恵ですね。

保坂 隆(ほさかたかし)
保坂サイコオンコロジー・クリニック院長。聖路加国際病院・診療教育アドバイザー。1952年、山梨県生まれ。
慶應義塾大学医学部卒業後、同大学精神神経科入局。1990年より2年間、米国カリフォルニア大学へ留学。東海大学医学部教授、聖路加
看護大学臨床教授、聖路加国際病院精神腫瘍科部長、リエゾンセンター長などを経て、保坂サイコオンコロジー・クリニックを開業。

書籍紹介
精神科医が教える「がんばらない老後」のすすめ
著者:保坂隆 発行:廣済堂出版 価格:1,100円+税
仕事や子育てを一生懸命がんばってきた方々へ。老後はあまりがんばらず、少し気ままにのんびり手を抜いて、楽しく生きよう!
ストレスのない「第二の人生」のすごし方。人間関係、お金、物、家事などをちょっぴり適当に。無理せず快適に暮らすおすすめ生活スタイルや、適度な力の抜き方を紹介。

 

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