インタビュー

輝く人103 石井めぐみさん

輝く人 石井めぐみさん

息子と過ごした8年で得た気付きを形にするのが私の使命

女優・タレントを経て政治家に転身。
現在は国立市議会議員として、さまざまな活動をする石井めぐみさん。その変遷を伺いつつ、政治家としての熱意に迫ります。

大学のサークル活動が芸能界入りのきっかけ

どんなお子さまでしたか?

 小学生のときは学級委員の常連、中学生のときは生徒会と放送部を兼任。必要だと思えば自らその役を買って出るタイプでしたね。大学で少女マンガ研究会「早稲田おとめちっくクラブ」を作ったときも同じ。私自身が少女マンガ好きというよりも、隠れ少女マンガファンの男の子たちに居場所を提供したいという思いで立ち上げたサークルで、最初は4人だったメンバーが2年後には150人を超える組織にまで成長したんですよ。

女優を志したきっかけは?

 小学生時代に地元の子ども劇団に所属していました。当時は、書道や美術と習い事づくしで劇団もそのひとつでしたが、私のなかでは一番楽しくて心揺さぶられたのを覚えています。その流れで大学時代は自主製作映画を作るサークル活動もしていました。そのときに作った『僕の青い鳥』という作品で、学生映画コンテストの8ミリ主演女優賞をとったのがきっかけです。役から「早稲田のめぐみちゃん」として新聞に大きく取り上げられ、篠田正浩監督の目にとまったようなのです。直々にお声掛けいただき、映画『夜叉ヶ池(やしゃがいけ)』への出演が決まりました。

ご苦労はありましたか?

 撮影初日、玉三郎さん演じる竜姫と私が演じる椿の精が一緒に天に上るというシーンで、いきなり5時間半も宙づりにされるという洗礼を受けました(笑)。その後も連日、朝6時から夜中の2時や3時まで撮影が続くハードなスケジュール。業界のきびしさを感じた仕事でしたが、大監督と大スターの方々に囲まれて学ぶことも多かったです。女優人生をスタートするうえで大きな経験だったと思います。

子育てを経て見えた政治家という選択

石井さんというと、ひょうきん族のレギュラーも印象的です。

 ひょうきん族では、女優として「芸人」という役になりきっていました。バラエティは台本があってないようなもの。すべてがアドリブ合戦。周りのスタッフさんたちが本気で笑ってくれるまで作り込む。現場は、そんな芸人さんたちの熱意にあふれていました。頭をフル回転させるので撮影後はヘトヘトでしたが、ドラマや映画にはない面白い世界でした。

その後、政治家へ転身したのはなぜですか?

 ご存じだと思いますが、私の長男は出産時の事故による脳性マヒで、24時間の介護が必要な状態でした。言葉を話すことはできず、食事も経管栄養で行う重度障がい者だったんです。それで小学校に上がる年齢になったとき、養護学校への入学を拒否されてしまいました。文部省は「学校に医療行為は持ち込めない」と言い、厚生省は「医療行為を第三者がやってはいけない」と言って、わが子が学校に通う権利を認めてくれなかったのです。納得がいかない私は、何度となく都政に働きかけました。でも、話は一向に進みません。そんなとき、あるご縁で代議士の中山太郎先生と出会い、文部省と厚生省に直接訴える機会をいただきました。すると、障がい者をもつ家族が十数年訴え続けても変わ
らなかった頑(かたく)なな制度が、わずか1週間で緩和され、息子を無事学校に通わせることができるようになったのです。このとき中山先生に言われたのが、「日本のシステムを変えるには、政治家を動かすか、自ら政治家になるしかない」というひと言でした。その後、8歳で息子がこの世を去り、私の体が自由になったとき、ふと中山先生の言葉を思い出しました。息子と過ごした8年で得た気付きを無駄にせず、1つひとつ形にしていくのが私の使命。経験者だからこその視点で、障がい者に寄り添うまちづくりに貢献したいと思ったんです。

今後の目標を教えてください。

 シニア層の生活にも目を向けていきたいと思っています。65歳で退職したあとは、自分の好きなことができる人生で一番楽しいステージ。と言っても人生100年時代です。残りの35年を安心して暮らすためには、行政のサポートが欠かせません。例えば、元気なシニアの方には働ける場所を増やすこと。現状はボランティアのような地域活動にも就労の仕組みを作ることができれば、収入が増えて老後がより豊かなものになっていくのではないでしょうか。今後は、それを実現するための活動を積極的に行っていくつもりです。

石井めぐみさん石井めぐみ (いしいめぐみ)
本名・石井葉子(いしい ようこ)。1958年生まれ。東京都調布市出身。1979年、映画『夜叉ヶ池』で女優デビュー。ドラマ『噂の刑事トミーとマツ』『だんなさまは18歳』、バラエティ『オレたちひょうきん族』などに出演。1996年、障がいを抱えて生まれた長男の成長を綴った
『笑ってよ、ゆっぴい』を執筆。重度障がい児の親の会「てんしのわ」を発足して啓発運動を行う傍ら、2015年4月に国立市議会議員に当選し、現在は政治家として活躍中。

 

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