特集

正しく知って賢く活用「健康食品」の上手な利用法

サプリメントって何?

「健康食品」に法律上の定義はなく、健康維持・増進のために利用されるもの全般を指します。ちなみに「サプリメント」は、ビタミンなど
の成分を濃縮し錠剤やカプセル状にしたもので、健康食品がまだ高価だった1994年当時、日本ではなじみのなかったサプリメントという言葉を使用して市場に参入した株式会社ファンケルによって広く一般に知られるようになりました。

 栄養補給や、加齢により失われがちな成分補給のために、サプリメントなどの「健康食品」を利用する人が増えています。
 しかし、多くの健康食品のなかから自分に合った商品を選ぶのはなかなか難しいもの。そこで参考にしたいのが、国が定めた健康食品の分類表示です。「トクホ」や「機能性表示食品」といった言葉は誰もが耳にしたことがあるでしょう。しかし、その違いを正しく知っているでしょうか。
 今月は、健康食品を正しく理解して活用するために、消費者庁発行「健康食品」に関する資料の監修も務める、梅垣敬三先生にお話を伺いました。

梅垣 敬三(うめがきけいぞう)先生
昭和女子大学生活科学部
食安全マネジメント学科
教授

国が認可する「保健機能食品」


最近、目にするようになった「保健機能食品」とは?
梅垣先生に教えていただきました。

「保健機能食品」は3つに分類される

 東京都が行った調査(※1)によれば、「最近1年間に健康食品を利用した」と答えた人は66.4%にのぼります。多くの人が健康増進効果を期待して利用しているサプリメントなどの健康食品ですが、なかには「医薬品」と同様に考える人もいるようです。こうした消費者の認識不足について梅垣先生は、健康食品を安全に効果的に利用するためには、正しく理解することが必要と訴えます。
「国は、健康食品についてある一定の基準を設け、いくつかに分類しています(表参照)。国の制度に基づき機能性などを表示できるものを「保健機能食品」、機能性を表示できないものを「その他の健康食品」と言い、保健機能食品は次の3つに分類されます。

❶「特定保健用食品(トクホ)」は、安全性や健康の維持増進に役立つ効果を国が審査し、消費者庁長官が保健機能の表示を許可している食品です。
❷「栄養機能食品」は、人における効果の科学的根拠が蓄積されているビタミンなどの栄養成分を一定の基準量含む食品のこと。国が定めた栄養機能が、企業の自己認証で表示されています。
❸「機能性表示食品」は、企業の責任において科学的根拠に基づいた安全性や機能性の情報を、販売前に消費者庁に届け出て、機能性の表示が認められた食品です。

 保健機能食品のように、国や企業による安全性や機能性の裏付けがあることは、健康食品を選ぶ上での目安になることは間違いありません」

※1 2016年に東京都在住の18歳~74歳までの男女約6000人を対象に行った「健康食品の摂取に係る調査」より

「機能性表示食品」を選ぶ基準とは?

 消費者庁の審査と許可を受けるまでに長い時間と莫大な経費が掛かり、企業にとって大きな負担になっているトクホ。そこで誕生したのが「機能性表示食品」です。 
 機能性表示食品の届出件数はすでに1300件を超え、トクホの許可・承認品目数を上回っています。「だからこそ、消費者が食品の分類をしっかりと認識する必要がある」と梅垣先生は言います。「『誰が・何を・どのように利用する』かによって、製品は有益にも有害にもなります。企業が示す科学的根拠などのデータは健康食品を選ぶ上での1つの判断基準にはなるでしょう。しかし消費者がそれを判断するのは容易ではありません。製品をより安全に効果的に利用するためには、薬局やドラッグストア、健康食品メーカー、病院などにいるサプリメントアドバイザー(※2)への相談をお勧めします」

※2 その人の栄養状態などを考慮した上で保健機能食品等に関して専門的なアドバイスを行う民間資格

「保健機能食品」の賢い利用法


保健機能食品さえとっていれば安心、と安易に考えるのは危険です。
その賢い利用法とは?

肥満解消の基本は3つの生活習慣から

 近年、美容のためのダイエットだけでなく、肥満などが要因となる生活習慣病改善のために、保健機能食品をとる人が増えています。
 2017年に厚生労働省が発表した「国民健康・栄養調査」によると、成人男性の30.7%、女性の21.9%が肥満であり、糖尿病が強く疑われる人は推計で1000万人に上ることがわかっています。運動不足や肥満が発症の大きな要因となる2型糖尿病は、重症化すると失明や人工透析が必要になるほか、多額の医療費が掛かるため注意したい生活習慣病の1つです。しかし、「食事や運動などの生活習慣に留意せず、健康食品だけで楽に痩せることはありません。生活習慣病の原因は、文字どおり生活習慣にあります。

①栄養バランスのとれた食事、②適度な運動、③十分な休養、という3つの生活習慣を基本にした上で、保健機能食品を正しく活用することが大切です。保健機能食品を正しく利用するには自分自身の健康状態を知ることが必要ですから、生活習慣を改善するための「気づき」や「動機づけ」につながります」。
「人生100年時代、増加し続ける日本の医療費は、国の財政を圧迫しています。今後は私たち一人ひとりが自分の健康に責任を持つ時代とも言えます。消費者一人ひとりの意識が変わり、機能性表示食品などを賢く活用できれば、健康管理に役立つだけでなく、ひいては国の医療費削減にもつながるはずです」と、梅垣先生は言います。

効果を把握する「利用メモ」の作成

 保健機能食品の広がりにより、自分の目的に合った商品を見つけやすくなった一方、表示や安全性に無関心な人はまだまだ多く、消費者の意識改革が必要、と梅垣先生は話します。「食品全般において利用した商品がすべての人に安全とは言えません。また個人個人によって影響が異なるため、摂取すれば効果が期待できるとも言い切れません。そこでお勧めしたいのが、お薬手帳のように利用状況を記録する「利用メモ」の作成です(表参照)。ヨーグルトや飲み物まで記録する必要はありません。錠剤やカプセルのものだけでよいでしょう。効果が把握できる上、体調を崩したりしたときは使用中止の判断ができます。また、医療機関や専門家にアドバイスをもらうときの参考にも使えます。生活習慣への意識がきっと変わるはずです」
 食品の分類を理解して、健康管理に上手に活用しましょう。

 

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